2得点をマークし、国王杯アトレティコ・マドリード戦の勝利の立役者となったネイマールにスペインで賞賛と批判の声が挙がっている。その理由とは?
28日のFCバルセロナ対アトレティコ・マドリード戦は強豪同士の意地と意地のぶつかり合いとなった。同大会準決勝進出が決まる大事な一戦だけにお互い一歩も引かずラフプレーが続出。メッシ、ネイマールら攻撃選手はもちろん相手DFの激しいチャージの的となった。
特にネイマールは2得点をマークしたということもあり、相手選手たちの逆鱗に触れた。もともとネイマールのプレースタイルは、スペインにおいても奇異であり、大げさに倒れればダイブと呼ばれ、試合中にヒールリフトをしたり、一見相手を小馬鹿にしたようなプレーも多用することから、相手DFから反感を買いやすいこともある。ブラジル人、いやネイマールの持つ特有のずる賢さにスペイン人も手を焼いているのだ。
削り合いの中ヒートアップした前半が終わると、数名の選手がネイマールに詰め寄っていった。アトレティコ・マドリードの主将ガビがネイマールに文句を言うと、フェルナンド・トレースもそれに続いた。これにより両チームがもみくちゃになり、暴言を吐いたガビは退場となった。
後半ネイマールがファウルを受けると、今度はアトレティコ・マドリードのDFフアン・フランシスコ・トーレスがネイマールを挑発。両手で「7」の数字を作ってネイマールに見せたのだ。これはW杯でブラジルがドイツに「7対1」で敗れた屈辱を思い出させようとしてやった心理的攻撃だという。TVカメラでは捕らえにくい場所でネイマールは相手選手たちとこうして壮絶なバトルを繰り広げていたのだ。
試合後、スペインのマルカ紙は、「アトレティコはネイマールを試合開始からずっと怯えさせようとしていたが、ネイマールは2ゴールでそれに応えた。」としたものの、「光の影に隠れる場面も多かった」と、賞賛とも批判とも取れる記事を掲載。
一方、スポルト紙は、「国王杯 Copa del Rey」を「ネイマール杯 Copa del Ney」と形容。アス紙は、「いくつも議論を巻き起こすプレーがあったものの偉大だった」と報じた。また、スペインのメディアはネイマールは見えないところで相手選手を挑発するジェスチャーを頻繁にすると指摘しており、退場となったガビの次のようなコメントも伝えている。
「彼は特にチームが勝っているときに、変なプレーをするくせがある。相手DFに対しても挑発のジェスチャーをしたりもするんだ。負けることが好きな人間なんていない。彼のジェスチャーは不快な思いにさせるんだ」。
また、カニことルベン・グラシア・カルマチェも「彼は今後キャリアで問題を抱えるだろうね。プレースタイルが独特で、そのスタイルのせいで今日のように喧嘩を巻き起こすことになる。でもそれが好きならしょうがないけど」と話している。
ちなみに試合が熱くなり、ネイマールがその中心にいるとみるやバルサのルイス・エンリケ監督はネイマールを途中交代させた。2得点をマークしたネイマールも非難を浴びての交代だっただけにさすがにイライラを募らせていた。ルイス・エンリケ監督はこの日のネイマールについてこう語っている。
「試合がヒートアップして、あれ以上頭が熱くならないためにもネイマールを下げた。ネイマールの態度はいつも通り、大胆さのあるものだった。それは我々に大きな攻撃と防御をもたらしてくれる。サッカーはこういうものだということを彼は理解しているし、彼を変えることは誰にもできない。我々にとっては嬉しいことだし、勇気を持ってやって欲しい」。