ブラジルワールドカップ後、初の代表戦となったコロンビア戦。ブラジルは後半ネイマールのフリーキックによるゴールでなんとか接戦をものにした。因縁の相手ともいえるコロンビア。異様な雰囲気で行われた試合。この日のヒーローとなったネイマールがインタビューに応じた。
ブラジル対コロンビア戦の会場となった米マイアミのサン・ライフ・スタジアムはイエローのユニフォームを身にまとまったサポーターで超満員となった。その数実に7万3429人。しかしそのほとんどはブラジルではなくコロンビアサポーターだった。親善試合、それも第三者の国で開催されながらも会場は熱気溢れ、本気モードそのものだった。
試合も序盤から両チーム、エキサイトする場面が多く、前半だけで出たイエローカードの数は6枚。そのうちコロンビアが4枚、ブラジルが2枚の警告を受けた。コロンビアは特にネイマールのドリブルに対して激しいチェックで対応。試合中に退場選手が出るのはもはや時間の問題だった。
後半開始早々クアドラードがネイマールを背後から倒し、この日2枚目のイエローカードで退場に。これで数的優位に立ったブラジルはボール支配率を格段に上げ、コロンビアにプレッシャーをかけた。対するコロンビアは一人少なくなってからはほとんどパスが通らず、ときおり2、3人の選手によるカウンターを狙うだけになった。ところがブラジルもパスは通るものの、プレーも単調でこれといったチャンスを作れない。
そんな中、迎えた後半37分、ブラジルがペナルティーエリア付近でフリーキックのチャンスを得ると、ネイマールが右足でシュート。ボールはゴールの角に吸い込まれるように入り、これが決勝点となった。
激しい削り合いの末、なんとか自分の力で勝利を掴み取ったネイマールは試合後足を引きずっていた。怪我から復帰してまだこれが2戦目。犠牲を払ったうえでの貴重な勝利だったのだ。ネイマールは試合後、ある記者から「あのゴールがなければ勝てていなかったが」と振られると、「試合になったら誰もがお互いを助け合うもので、セレソンは一人の選手のものじゃない。11人の選手とスタッフがいるんだ。みんなで戦うもので、誰がゴールを挙げるかは重要じゃないよ」と、チームの勝利だとした。
スニガとの対決が注目されたが、それついては、「スニガは僕のことを呼んで、謝ってきたんだ。」としたうえで、「コロンビアはいつも激しいプレーをするから気を付けないといけない相手だね」と、笑顔で語った。
キャプテンに選ばれたことについては、「自分にとっては新しいことで、責任重大。監督が信頼してくれるのは嬉しい。でも僕だけが主将ではなく、みんなが意見してくれていい。そういうチームがチャンピオンを作るんだ」と持論を展開した。
一方、ドゥンガ監督は、試合後のインタビューで「ネイマールはボールのことを『お前』と呼んだりするほどで、ボールが彼の足からくっ付いて離れないんだ。他の人ができないようなことでも彼は自然にやってのける。それになにより私のように彼は負けるのが大嫌いなんだ。本当のことを言うと、彼と私とではたくさんの共通点があることに気づいたよ。きっと理解し合えるだろうね」と、キャプテンにふさわしい男だとした。