ブラジルは5日(日本時間)、コロンビアと準々決勝を行い、2対1で接戦をものにした。しかし無傷での勝利とは程遠かった。チームのエースであり、国民の期待を背負ってきたネイマールが後半途中、相手DFの膝蹴りを腰に受け、負傷退場を余儀なくされたのだ。
全ては順調だった。ブラジルは前半早々にDFでありキャプテンのチアゴ・シウバがコーナーキックを押し込み先制。さらに後半に入ると、またもDFのダヴィド・ルイスが超ロングフリーキックを直接決めて、スコアを2対0とした。この時点でネイマールを代えることもできた。ただでさえネイマールは累積イエローカードが1枚あったため、もう一枚もらうと準決勝は欠場せざるを得なくなる。しかしフェリペ・スコラーリ監督は後半38分ラミレスとフッキを交代、さらに同41分にエルナネスとパウリーニョを入れ替えた。事故が起こったのはその直後である。
ネイマールは味方からのパスをもらいに行こうと前進。その動きに合わせてコロンビアのフアン・スニガが飛び膝蹴りをネイマールの背中にお見舞いした。カウンターの流れだったため主審はプレーの続行を命じたが、しばらくしてからオスカルがファウルを受けると、やむなく試合を中断。ネイマールはもはや自分の力では起き上がれなかった。すぐに担架が用意され、ネイマールの代わりにエンリケがピッチに入った。ネイマールはあまりの痛みに泣き叫んでコートを後にした。
ブラジルの10番は精密検査を受けるために病院に直行。準決勝はもちろん、決勝戦の出場も絶望的となった。ブラジル代表のチームドクターであるロドリゴ・オスマル氏は、「不安な状態だ。試合に最後まで出られないような怪我は深刻で、ネイマールはレントゲンを撮りに、病院に向かった」と説明している。
また、ロドリゴ・オスマル氏は、「最初はその激しい痛みから選手にとって悲劇的なものに感じるが、ただ、まだ判断を下すのは早い。検査結果を見てみないとなんともいえない。数時間後には彼は合宿地に戻るだろう」と話している。
一方、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、「まだはっきりとはわからないが、治すのは難しいだろう。見た感じだともうプレーできないと思う。彼が狙われることはみんな知っていた。ここ3試合ずっとそうだった。それでも誰も信じてないような感じだった。これでドイツ戦が厳しい試合になってしまう。もちろん我々にはほかにもいい選手たちがいるが」と不安を吐露した。
チームメイトでFWのフレッジは、「多分、背中のどこかの骨に膝がはいったんだと思う。自分は見てないからなんとも言えないけど、僕ら選手たちは慣れている。ネイマールは戦士だ。彼ならきっと治して決勝に一緒に戦ってくれるはず」と奇跡の回復に期待した。
ネイマールのほかにキャプテンであり、ブラジルディフェンスの要であるチアゴ・シウバもまた試合中に警告を受けてしまい、累積イエローカード2枚でドイツ戦に出場できない。ブラジルはオフェンスの要とディフェンスの要の両方を失ったことになる。ネイマールの代わりにはベルナルかウィリアンが、チアゴ・シウバの代わりにはダンテ、あるいはマックスウェルが入ることが予想されるが、いずれにしても不利な状況に立たされることには変わりはなさそうだ。