ワールドカップのために仕事を休み、高い航空費を払い、ホテルを予約し、ブラジルまで行く。しかしいざに試合会場に行ったまではいいが、座った場所が壁の真横で何も見えなかった。そんなあってはならない出来事がブラジルで実際に起こっている。
FIFAに騙されたといっても過言ではない今回の件で被害に遭った男性はオーストラリアサポーターのアダモール・オトさん、38歳。アダモールさんは、オーストラリア対スペイン戦の約80ドル(180レアル)のチケットを購入、席番号はX列の5番席だった。試合当日、クリチーバのアレーナ・ダ・バイシャーダに入場し、席について見たら仰天した。なんとそこは壁の真横の席でサッカーコートの半分も見えないような視界が閉ざされた場所だったのだ。
「80ドル(180レアル)も払ってコーナーキックしか見れなかった。視界がひどすぎて、コートの端っこしか見れないなんて」。
実はこのアレーナ・ダ・バイシャーダはほかのいくつかのスタジアムと同様本番ぎりぎりに完成したスタジアム。そのためこういった欠陥が次々と発覚しているようだ。このような問題のある席がほかのスタジアムを含めると少なくとも300席はあると考えられている。
この状況にアダモールさんは「もっと大騒ぎしてクレームしてもよかった。ほかのスタジアムでは視界がこれほど悪い席のチケットは販売されなかったそうだ。本当に馬鹿げている」とあきれ返っていた。
FIFAは、本番までに時間がなくて、チェックが行き届いていなかったとしたうえで、「ほかの席に移ってもらうなどして、全ての問題は解決した」と弁明しているが果たして本当だろうか。FIFAは同件についてのクレーム件数も明らかにしておらず、実際まともに観戦できなかった観客が相当数いたことは想像に難しくない。