スコアレス―ドローで終わった日本対ギリシャ戦。日本代表にとっては限りなく決勝トーナメント進出の可能性は低くなり、わざわざブラジルまで駆けつけた多くの日本サポーターはさぞかし激怒しているかと思いきや、今回も彼らは立派にスタジアムを掃除して帰っていった。その姿が多くの人々に目撃されている。
前半に相手のレッドカードで日本はかなり優位に立った。それでも最後までギリシャゴールを割れずに力尽きた。これがブラジルだったら、暴動が起きているところだが、日本サポーターは試合が終わると、今日もまた自分たちの信じている「当たり前」のことをやった。スタジアムのゴミを片付ける。それも自分の席だけでなく、かなり広範囲に渡ってだ。
掃除をしたのは一人や二人ではなかった。まさに一丸となってみんなでやろうという雰囲気がスタジアムにはあった。日本サポーターのブラジルに対する、ブラジルのスタジアムに対する、あるいはサッカーに対するせめてもリスペクトともいえる。彼らの行動は世界中の人々を感動させたが、一番感動したのはほかでもない日本人ではないだろうか。
その一方でブラジルではワールドカップ期間中のゴミ問題が深刻化している。どれだけ清掃員を雇おうと、国民に街をきれいにする意識がなければゴミは溢れるだけだ。ブラジル対メキシコ戦後、サンパウロ市のビラ・マダレーナ地区はこのありさま。サンパウロ市によれば翌日早朝5時からゴミ収集を開始し、夕方までには40トンのゴミを集めたという。
そんな背景があるからこそ、日本サポーターの行動がブラジルで絶賛されるのである。あのジーコですら、「私も日本人からその精神を学んだよ」という。サッカーを通じて日本にも世界に教えられることがある。それを証明したのは日本サポーターなのである。ちょっと気は早いが、今大会の日本のMVPを選ぶならば選手ではなく、間違いなく彼らサポーターだろう。