ワールドカップ、ブラジル対メキシコ戦。ブラジルは幾度となくメキシコゴールに攻め込み、決定的なチャンスも演出した。しかしその度にゴール前に立ちはだかったのはメキシコGKのギジェルモ・オチョアだった。至近距離からの強烈なシュートを止める様子はまさに神の手。ブラジルのメディアは一斉にギジェルモ・オチョアを取り上げた内容の記事を報じている。
ブラジルのガゼッタ・プレスは「ブラジルはオチョアで止まり、メキシコ相手に0対0で終わった」と伝え、「メキシコ人はやればできるということを経験上知っていた。ブラジルは苦手な相手であるメキシコとの対決で、(勝てないという)呪いを増幅させてしまった。ネイマールのヘディングも、ボレーも、チアゴ・シウバのヘディングも全てオチョアのスーパーセーブに防がれてしまった」と報じた。
ブラジルのロイター通信は、「ブラジルはオチョアに制止され、メキシコと0対0に終わる」としたうえで、「ギジェルモ・オチョアがすばらしいセーブで今回のW杯2度目のスコアレスドロー(最初のスコアレスドローはイラン対ナイジェリア戦)を決め、ブラジルの勝利を阻止した」と表現した。
一方、ジャーナリストのレオナルド・サコは自身のブログで、「ブラジルを止めた男、ギジェルモ・オチョア」と題した記事を公開し、次のようなエピソードを紹介している。
「この男の名前をブラジル人は忘れないだろう。彼はブラジルの攻撃を止め、ピッチでこの日の最高の選手だった。ブラジル人に誰だあの男は?と思わせた。28歳にしてこれが3回目のW杯出場。2006年には代表3番目のGKだったが、2010年には国内最高と謳われながらもオスカル・ペレスにレギュラーを奪われた。そのときはメキシコサポーターから監督に批判が出たくらいだった。今年に入って彼は、所属チームのACアジャクシオ対パリサンジェルマン戦で12回もスーパーセーブを見せた。それでもギジェルモ・オチョアがレギュラーになれたのは、正GKのヘスス・コローナが怪我で戦列を外れたからだ。しかしメキシコ人は2006年から分かっていた、ギジェルモ・オチョアこそ正GKだと。それを彼はこのブラジル戦で証明したのだ」。
後半で途中交代したブラジルFWのフレッジは、「コンフェデレーションズカップのときも難しい試合だったから、接戦になることは分かっていた。相手GKを祝福せずにはいられない。彼は少なくとも4回奇跡を起こしたよ」と脱帽だった。
ギジェルモ・オチョアは試合後、「ブラジルでブラジルのホームでやるのがどれだけ厳しいかは分かっていた。ラッキーにもうちのチームは固い守りをすることができた。今日は喜んで帰ることができる。大きな一歩を踏み込めたよ」と満足感を示している。
ブラジルでは早くもメキシコ人GKの鉄壁のディフェンスをこんな画像で表現している人も。今回の試合で一気に名前を上げた男、ギジェルモ・オチョア。この男に今後も注目だ。