ワールドカップブラジル代表に新たなヒーローが生まれつつある。MFのオスカルだ。開幕戦のブラジル対クロアチアでは誰よりも走り、誰よりもボールに触れて相手をかき回した選手だ。
実はオスカル、開幕戦前まではブラジルメディアから酷評を受けていた。というのもパナマ戦、セルビア戦でのパフォーマンスが悪く、ベンチにするべきだといった声も多かった。しかしフェリペ・スコラーリ監督だけは、オスカルの実力を信じ、メディアに反論。開幕戦でもレギュラーから外さず、スタメンで使い続けた。
開幕戦の統計を見ても、オスカルはドリブル、インターセプトの数でもチームトップに。マンオブザマッチこそ2得点を挙げたネイマールの手に渡ったが、オスカルが選ばれていてもおかしくない試合だった。そんなMFに対してフェリペ・スコラーリ監督は、「オスカルが相手から一番ボールを奪った選手で、右サイドからドリブルを仕掛けチャンスを何度も作った。最近、パフォーマンスが落ちていたかもしれないが、彼は本来今日のプレーを見せたような選手なんだ。」と評価した。
また、オスカルの人柄については、「純粋な少年で、とても優しい。世界中の父親が自分の息子に欲しいと思うような息子だ」と、自分の子供に例えるほどの愛情を示した。また、試合直後にフェリペ・スコラーリ監督はオスカルに対し、「お前は本当に上手いなあ、本当に上手い」と感心していたのも印象的だった。
オスカルはネイマールと同じ22歳。これまでネイマールの影に隠れがちだったが、今回の活躍で一躍時の人となりそうな予感だ。ネイマールはオスカルについて、「オスカルはすごいプレーをした。僕にとっては彼がMVPだった。彼のことはオスクラッキ(オスカルとクラッキ(名選手)を合わせた造語)と呼んでるんだ。僕は彼のファンだからね」と話している。
オスカルはメディアに批判されても、「誰に借りがあるわけじゃない。監督が自分のプレーを信じてくれてる、それが一番大事なことだ」と自信を持ち、監督を信頼してきた。そんな二人の良好な関係が開幕戦で実を結んだ。
ブラジルの3点目、彼自身の大会初ゴールについては、「(娘)ジュリアと妻に、そして家族のみんなに捧げたい。僕はいいプレーができたよ」と満足感を示した。娘のジュリアちゃんは今月5日に生まれたばかり。代表合宿の練習の合間を縫って病院にかけつけた。
娘が誕生したときには「父親になるのは最高だよ。初めてのワールドカップに出る、この時期に生まれてくれて嬉しい。大きなモチベーションにもなるよ」と語っていたブラジルの期待の星。次の試合でも要チェックだ。