W杯ブラジルの治安を脅かす組織ブラック・ブロックとは?

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ブラジルワールドカップを観戦しようと訪れる外国人が最も心配していることはやはりブラジルの治安だろう。日本の外務省を始め、様々な機関がブラジルの安全面に関しては注意勧告を出しており、どうしても恐ろしいイメージがつきまとう。強盗、誘拐、暴動など穏やかではない報道が目立つ中、実はほとんどの海外メディアが伝えていない、W杯の治安を脅かそうとしている組織があるのをご存じだろうか。

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その名はブラック・ブロック。もともとは1980年代に欧州、特にドイツ、イタリア、スペインで若者の間で起こった抗議運動で、黒の覆面をし、上下黒の服を身にまとってデモに参加するグループ、あるいはそのデモ戦略のことを指す。抗議と並行し、破壊活動に走る者も少なくないため、彼らの凶暴性が伝えられることも珍しくない。そのブラック・ブロックがブラジルに出現したのはW杯反対デモが始まった昨年のことだった。ブラック・ブロックのメンバーはどこからともなく一般人と一緒にデモに交じり、看板や商店などの破壊を繰りかえし、幾度となく警察とも衝突した。それでもブラジル各地でデモが起こるたびに自然とブラック・ブロックのメンバーの数も増加していった。

そんな組織 がワールドカップ期間中、サンパウロ州最大の犯罪組織首都第一コマンド(通称PCC)と平行し、ブラジルを無秩序の状況に陥れる意向である、とエスタード・デ・サンパウロ紙が報じている。首都第一コマンドといえば、サンパウロ市の刑務所中にいる犯罪組織を総括している巨大組織であり、2006年に刑務所外にいる組員に命令し、警官を次々と襲撃させた張本人である。事件当時サンパウロ市は政府による外出禁止令が出され、ブラジル最大の都市が閑散となったのが記憶に新しい。

エスタード・デ・サンパウロ紙はこの度、ブラック・ブロックのメンバーの接触に成功し、実際に彼らにインタビューしている。メンバーの一人で病院で勤務しているという34歳の男性は「政府がしていることの仕返しをするつもりだ。政府は郊外で警官が市民に暴力をふるっても、病院で人々が死んでいても、教育機関が成り立っていなくても、交通機関が地獄のようでも全て黙認している。そういった無秩序を政府にお返しつもりだ。ただ伝えられているような暴力的な方法ではない。でもカオス(無秩序/混乱)は絶対に起こす。」と宣言した。

また、男性は、「我々は首都第一コマンド(PCC)がW杯で行動を起こすのを確信している。我々はそれに便乗しようと考えている。ただ、PCCとは(直接)つながりはないし、また彼らに対抗しているわけでもない。ただPCCはサンパウロ市を止めただけあって、我々の運動よりもずっと力がある」と強調した。

ブラック・ブロックの主張するのは公共サービス、教育、医療、交通機関の改善など。つまるところ国民の生活全般の向上である。もともとはバスの賃金の値上げを発端に、国民の政府への怒りが爆発したことで拡大したW杯デモだが、ブラック・ブロックは平和的に抗議しただけでは政府に、あるいは世界に声は届かないと信じている。メンバーの多くが普段は普通の職に就いている若者で、中流階級がほとんどだとみられている。

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ブラック・ブロックのメンバーで病院の研究員だという21歳の女性はW杯に向けて「ブラック・ブロックじゃなくても、W杯のために行動の準備をしている人たちはたくさんいます。私は子供のころから人々が道に出ていって抗議をすることを夢見ていました。」と話す。彼女が政府に求めるのもやはり交通機関、教育、医療の改善だ。その理由に「ブラジルでは多くの人が病院の列で待っている間に亡くなるから」と現場で目にしてきたことに耐えられないといった思いがある。

また、ブラック・ブロックに参加した経緯については、「(デモ中に)私は何もしてないのに警官が私に暴力をふるってきたんです。そのとき警官に立ち向かって助けてくれたのがブラック・ブロックでした。本来市民を助けるべく警官が私を殴り、暴力的と伝えられているブラック・ブロックが助けてくれたんです」と説明している。また、ブラック・ブラックの定義については、「抗議の戦略であって、特定のグループを指すわけじゃない。誰でも参加することはできる」と指摘している。

一方でブラック・ブロックのメンバーの一人が放ったロケット花火を受けて、カメラマンが亡くなった事件もあった。それについては、「とても悲しいことだけどあれは事故で、故意にやったわけではない。ただ世間ではそういったふうに裁かれているけど。」と複雑な気持ちを明かしている。政府にとっては反社会組織として扱われることの多いブラック・ブロックだが、善か悪かで彼らを判断できるほど物事は単純ではない。いずれにしても気になるのが彼らが口にする「カオス」。果たしてW杯は無事開催されるのだろうか。

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