ブラジルワールドカップ開幕まで残すところあとわずか。そんな中、一体今回の大会ではどの国が優勝するのかと疑問に思っている人も少なくないはずだ。往年の名選手や大手メディアの意見をまとめてみた。
スポーツの大会で優勝候補を見つけるときに海外の記者を始め、多くの人々が一つの目安として見るのがブックメーカーのオッズである。世界的知名度のあるブックメーカー「ウィリアム・ヒル」の21日現在のオッズがこちらだ。
1 ブラジル 4.0
2 アルゼンチン 5.50
3 ドイツ 6.50
4 スペイン 7.0
5 ベルギー 15.0
6 フランス 21.0
7 コロンビア 26.0
イタリア 26.0
ポルトガル 26.0
10 イングランド 29.0
ちなみに日本は16位(126.0)につけている。日本と対戦するコロンビアの評価が高いのが気になるところだが、その一方でやはり地元ブラジルの優勝が大方の予想のようだ。
ブラジルの宿敵アルゼンチンの英雄マラドーナでさえも、ブラジルを優勝候補に挙げているぐらいだ。マラドーナは昨年9月にブラジルを訪問した際、「コンフェデレーションズカップのプレーを見る限り、ブラジル人選手の集中力はとても高い。彼らは無敵だ。(W杯)優勝候補はブラジルだろう」と評価した。なにかとブラジルに噛み付くマラドーナが言うとなると、急に説得力が増す。ブラジルのメディアに対するリップサービスかと思われたが、昨年ドゥバイに滞在したときも「ブラジルが優勝候補なのは疑いの余地もない」とコメントし、改めてブラジルを推した。
ブラジルの優勝を予想しているアルゼンチン人はなにもマラドーナに限ったことではない。先日ロイター通信は、コンサルティング会社「Poliarquía Consultores」の調査を明らかにしたうえで、「アルゼンチン人の4人に1人がブラジルが優勝すると予想」と題した記事を伝えている。それによるとブラジル優勝を予想したのが25%だったのに対し、アルゼンチンの優勝を予想したのは全体のわずか17%だった。また、10%がドイツ優勝、7%がスペイン優勝を支持した。同調査はアルゼンチンの18歳から29歳の人々を対象に、合計で1524人に対して実施されたもの。
ロイター通信はほかの記事でも「ドイツの優勝を信じているドイツ人は20人に1人」と報じている。ロイター通信によると、ドイツの週刊誌「Stern」が1002人を対象に行った調査の結果、ドイツの優勝を予想したのは全体のわずか6%だった。それに対し、ドイツの決勝進出を予想したのは全体の10%、準決勝進出が41%、ベスト8が25%だった。
一方、サッカーの王様ペレはどう見ているのか。ペレは優勝候補に「ブラジルとスペイン」をリストアップ。さらに「アルゼンチン、イタリア、ドイツが決勝にたどり着くチャンスの高いチーム」だとしている。その理由に「スペインは8年間同じ(メンバーの)チームで戦っている。(それに対し)ブラジルは優勝しなくてはならないからだ」との考えを示した。その一方でペレが何度も口にしているのはウルグアイへのリベンジだ。1950年ブラジル大会決勝戦でウルグアイに敗れた試合のことをいまだに引きずっているのである。
「もし私に神の力が備わっていて、選べるならブラジル対ウルグアイの決勝戦にする。私はリベンジがしたいし、ブラジル国民もそう思っている。(子供だった頃)あの試合で私の父が泣いたのを、家族が悲しんだのを覚えている。あのときの魂を洗礼したい」
元ポルトガル代表でリアル・マドリードなどで活躍したフィーゴもまた「ブラジル」の優勝を予想。「ブラジルは母国でプレーするから有利だし、すばらしい監督もいる。監督のことは私もよく知っているし、彼はW杯のような大会にとても適している。それに国中がチームをサポートするだろうしね。敵のチームとしてはブラジルとやるのはものすごく手ごわいことになる」としたうえで、「スペインが優勝できるとは思わない。彼らがそのクォリティーを持っているとは思えない。不可能ではないけれど、難しいだろうね」と分析した。また、「ポルトガルの優勝は難しいと思う。ポルトガルには人口が1100万人しかいない。そこから18人から20人を選ぶことも難しいし、どうしてもクリティアーノ・ロナウドに頼りがちになってしまっている」と自国の優勝については否定的だ。
オランダの名選手、ヨハン・クライフもブラジルを「優勝候補の筆頭だ」とし、その理由を「ホームで試合をするし、コンフェデレーションズカップでどうなったかすでに私たちは目撃している。スペインも主要大会で戦うための要素を含んでおり、偉大なチームではあるものの、優勝候補はブラジルだ。」と強調した。オランダについては、「若い選手たちのいるチームで、本番にナーバスになるかどうかを見極める必要がある。足りないのは経験だ」と指摘している。
優勝候補はさておき、グループリーグの予想はいかがなものか。「ウィリアム・ヒル」によるオッズはこちら(21日現在)。
A組
1 ブラジル 1.20
2 クロアチア 7.50
3 メキシコ 9.00
4 カメルーン 26.00
B組
1 スペイン 1.73
2 オランダ 3.25
3 チリ 5.00
4 オーストラリア 67.00
C組
1 コロンビア 1.80
2 コートジボワール 4.50
3 日本 5.00
4 ギリシャ 7.00
D組
1 イタリア 2.37
2 ウルグアイ 2.75
3 イングランド 3.25
4 コスタリカ 67.00
E組
1 フランス 1.80
2 スイス 3.25
3 エクアドル 5.50
4 ホンジュラス 17.00
F組
1 アルゼンチン 1.17
2 ボスニア・ヘルツェゴビナ 8.00
3 ナイジェリア 9.00
4 イラン 51.00
G組
1 ドイツ 1.50
2 ポルトガル 3.75
3 アメリカ合衆国 11.00
4 ガーナ 11.00
H組
1 ベルギー 1.57
2 ロシア 3.20
3 韓国 9.00
4 アルジェリア 26.00
これによると、日本はコートジボワールよりも下のC組3位で予選敗退が予想されている。そのほかブラジル、スペイン、フランス、イタリア、ドイツ、アルゼンチンら強豪が順当に決勝トーナメントに進出すると考えられている。一方で意外と評価が高いのがベルギーだ。ベルギーは優勝候補ランキングでもフランスやイタリアを抑えて5位。予選グループでも1位突破が予想されている。果たして優勝は誰の手に。