毎回髪型を変幻自在にチェンジし、新しいルックスをファンに披露しているネイマール。ワールドカップでは新ヘアカットを見せると豪語しているだけにどんなふうになるか楽しみな人も多いはず。そこで気になるのが、ネイマールはバルセロナで一体どんな人に髪の毛を切ってもらっているのだろうか。
ちなみに日本代表の本田圭佑のヘアカット代は1年で1908万4200円だという。これは専属美容師をわざわざ日本からイタリアまで呼んでいるからで、その度にビジネスクラスの航空費やホテル代がかさむからだ。本田が年間約2000万円も使うとなると、オシャレ好きで大金持ちのネイマールはもっとすごいのではないのか。まさかブラジルからわざわざ専属美容師を呼び出しているのだろうか。それとも多くのスタッフをブラジルからバルセロナにまで引き連れていったように、美容師までバルセロナに住ませているのか。
ネイマールの現在の髪型を手掛けているのはこの人、ホセフ・ポンスさん。一見、普通のおじさんだが、実はこの道の50年の大ベテランでバルセロナでヘアサロンを経営する傍ら2つの美容師専門学校も運営しているカリスマ美容師だ。ホセフ・ポンスさんがヘアサロンを開いたのは1973年のこと。開店後、まもなくしてある一人の客がホセフ・ポンスさんの店に入ってきた。
FCバルセロナで5度のリーガ得点王に輝いた伝説の選手キニこと、エンリケ・カストロ・ゴンサレスだ。 キニはホセフ・ポンスさんにとっては神のような存在だった。
「昔からサッカーの大ファンで、子供の時は選手になりたいと夢見たこともありました。だからプロ選手が来店してきたときには嬉しくてね。私にとってサッカー選手たちは映画俳優たちより偉大な人たちなんですよ」。
キニが自分のヘアサロンで髪を切っている。その状況に慣れるのには時間がかかった。しかしやがてキニを皮切りに口コミで噂が広がり、バルサの選手が次々と来店するようになった。オープンから40年以上が過ぎ、やはりほかの選手に勧められるようにしてネイマールが来店したのだ。すでにバルサの選手と接することに慣れていたホセフ・ポンスさんにとってもネイマールは特別だったという。
「嘘みたいな話なんですけど、たくさんの客がいる中でネイマールが突然入ってきて、そこにいた全員に挨拶して回ったんです。ほかの客にも、従業員全員にも、みんなですよ。彼はとても気さくで、頭が良く、バルセロナのことを愛しているようでした。」
ホセフ・ポンスさんはネイマールのバルサ移籍については最初不安があったという。カタルーニャ人はスペインの中でも真面目で、固く、簡単に笑顔は見せない。そんな中にモヒカン頭の陽気なブラジル人が入ってきても受け入れられないのではないか、といった心配があったようだ。
「実はバルセロナの市民は(レアル・マドリードでプレーした)ロビーニョの二の舞になるんじゃないかって話していたんです。でもネイマールは違っていました。順応するには自分が変わるしかないってことを彼は知っていました。髪型については染めるのはやめるように忠告したんです。頭皮を痛めてしまうので禿げるかもしれないよって」。
一時は金髪にしていたネイマールだが、バルサ移籍後は髪の毛の色が落ち着いたのにはこんな経緯があったようだ。また、ネイマールが派手なモヒカンをやめたのも、バルサの人々が保守的なために、そのイメージにネイマール自ら合わせようとしただめだという。
「彼はいつもサイドを刈り上げるように頼むんですが、後は落ち着いたルックスにするようにしてるんです。成熟していない子供だと思われるのを避けるためにもその選択は正しかったと思います。」
現在ホセフ・ポンスさんのヘアサロンにはネイマールのほかシャビ、ピケ、ファブレガスなどが通っている。気になるカットの値段だが、なんとたったの22ユーロ(約3000円)。ほかの客と同じ値段だ。ネイマールはこの場所に2週間置きに通っているそうだが、たとえ毎日来たとしても本田圭佑のカットの値段には足元にも及ばない。