昨年からブラジルW杯のチケット販売が開始され、すでに抽選でチケットが確定した人もいるはず。現在も日本戦を含む複数の試合のチケットが売れ残っており、まだまだ購入のチャンスはある。そんな中、チケット代が高すぎる、とブラジル国内では批判の嵐が巻き起こっている。
すでに完売となったが、ブラジルW杯決勝のチケットの一番高い席、カテゴリー1の値段は1980レアル。14日現在の為替で8万7,285円である。日本で生活する人にとっては国際大会の決勝と考えれば普通の値段かもしれない。しかし昨年のブラジル選手権のチケットの平均価格が45レアル(1,983円)ということを考えると、実に44倍に当たる額なのである。これに対してブラジル国民は大ブーイングだ。
W杯チケットはFIFAのオフィシャルサイトから購入できるが、受け取り方法はチケットカウンターに出向いて受け取るのと、自宅に郵送してもらうかのどちらかを選ぶことができる。この郵送代がブラジル国内に送る場合でもなんと59レアル(2600円)もするのである。まさかブラジルで大会が行われるのにFIFAの本部があるスイスからチケットが送られるのだろうか。それにしても高すぎる。
ちなみにブラジルを代表するリサーチ機関である地理統計院が発表した昨年のブラジル国民の平均月収は約1.792レアルで、日本円にするとわずか7万9,053円である。つまり決勝の一番高い席のチケット代より低いことになる。国民の税金を使ってスタジアムを次々と建設したにも関わらず、試合観戦するためにさらに大きな負担を国民が強いられるという矛盾。W杯を機に経済成長が謳われるなか、実際は「国民のためのW杯」を実現するのはかなり難しそうだ。