ブラジルは19日、メキシコとのコンフェデレーションズカップ第2戦に臨む。メキシコはロンドン五輪決勝で敗れた因縁の相手。しかも現在のメキシコ代表にはジョバニ・ドス・サントス、ホセ・コローナ、ディエゴ・レジェス、イラム・ミエル、エクトル・エレーラ、カルロス・サルシド、ハビエル・アキーノ、ラウル・ヒメネスとそのときのメンバーが8人も在籍。一方のブラジルもチアゴ・シウバ、マルセロ、オスカル、フェルナンド、ネイマール、フッキと6人が元五輪代表選手だ。
ブラジルは過去一度も五輪サッカーの金メダルを獲ったことがない。その夢の瞬間まであと一歩のところでメキシコに阻まれたのだから選手たちにとっては忘れられない思い出となったはずである。また、ブラジルがメキシコに強い警戒を強いているのはなにもロンドン五輪での敗戦だけが原因ではない。実はブラジル1999年のコンフェデレーションズカップ決勝でもメキシコに4対3で敗れているのである。選手たちにそのつもりはなくともメディアはリベンジを煽り、国民もまたそれに期待している。
今年1月にコンフェデレーションズカップの組み合わせ抽選会が行われ、メキシコと同組にエントリーしたときにネイマールは、「決勝で負けて以来、(リベンジしたくて)みんなやる気満々だ」と話していたが、今の心境を聞かれると、「あのときの試合は他の大会、他のチーム、他のときの試合で別物だ。今はコンフェデレーションズカップのことを考えるべきで、全試合に勝つつもりだ」とリベンジの気持ちはないとした。一方のフッキは、「メキシコはいいチームで、いいプレーをしてくる」と警戒。チアゴ・シウバは、「メキシコはロンドン五輪後、少し行き詰っている。いつも手ごわい相手だけれど、五輪のリベンジというふうに戦う必要はない」とネイマールに同調した。
コメントからも分かるように選手たちはメディアの煽りに便乗する気はなさそうである。それどころか練習中も移動中も終始チーム内にはリラックスムードが漂っている。バスでの移動中にはダンテ、ダニエウ・アウヴェス、ジョーが楽器を持参し、サンバで車内を盛り上げる。チーム内で流行っているの曲は歌手チアギーニョの「Ousadia e Alegria(大胆さと喜び)」。実はこの歌、同歌手がネイマールに捧げるメモリアルソングなのだ。楽器ができないチアゴ・シウバは拍手で演奏に参加、「ダンテがカヴァキーニョ(サンバギター)、ダニ(ダニエウ・アウヴェス)がタンタン(パーカッション)、ルーカスがパンデイロ(タンバリン)、ジャジソンがボーカルだ。みんなでよく『Ousadia e Alegria(大胆さと喜び)』を歌うよ。みんなチアギーニョの曲のファンなんだ。ネイマールも歌に加わるけど、リードするのはいつもダニとダンテなんだ」とチーム内のムードメーカーを紹介した。
果たして今ノリにのっているブラジルがこのままの勢いでメキシコを降すのか。試合は午後4時(現地時間)にキックオフ。