ネイマールには、ネイマールのマネージャーを務めるネイマールパパと洋服店のオーナーでありモデルデビューも果たした妹ラファエラ、そして二人とは正反対の性格を持つ母親ナジーニさんが家族にいる。
メディアに自ら登場するネイマールパパやラファエラと違ってナジーニさんはほとんどその姿を公に見せず、息子の試合、プロモーションイベント、表彰式の会場にも足を運ばない。母の日になればインタビューの依頼が殺到するがその全てを断っている。その理由のひとつが有名な息子がいることでブラジルでは誘拐などの身の危険にさらされるからである。実際に元サントスのロビーニョはサントス在籍中だった2004年に母親が誘拐の被害に遭った。それもありナジーニさんは息子が有名になりメディア露出が増え出した頃からメディアとは一定の距離を置いているのだ。
かといってナジーニさんがネイマールに無関心はわけではない。信仰深いプロテスタントのナジーニさんはネイマールがまだ子供の頃は試合前にチームの更衣室にまで押しかけ、ネイマールに「キリスト」と書かれたハチマキをさせて神に祈りを捧げるように言い聞かせていた。チームメイトにその様子をからかわれたことからハチマキは父親が止めるように制したほどだったという。しかしその頃の習慣が忘れられないのか、現在に至っても試合前になるとネイマールは度々ナジーニさんに電話をし、一緒にお祈りを捧げるそうだ。「息子には、ピッチに喜びと共に上がり、神様の導くままにプレーするのよと話しています」。
ネイマールが未婚の父になった際には、「私が言えることはあなたは善良な人間だということ。これからも神様のご加護がありますように。私とあなたの妹、父、そしてダビ(ネイマールの息子)はいつも側についているから」と息子を励ました。また、ネイマールがサントスで監督とケンカするなどの数々の問題を起こしたときには涙を流しながら息子をたしなめた。その甲斐あってかネイマールは記者会見し、チームやファンに謝罪。それ以来心を入れ替えたように“優等生”となった。
ナジーニさんはネイマールの収入の一部を教会に毎月寄付することを決して忘れない。ネイマールが豪華ヨットを購入した際には母親の名前をつけようとしたが、メディアがそれを大きく取り上げたことから、目立つことを嫌ってこの申し出に反対した。サッカー界のスーパースターを息子に持ちながらナジーニさんはそんな謙虚な人なのである。